中等部3学年のチャレンジ問題−酸化・還元編−です。基本から難問まで幅広くありますから,頑張って下さい。また,各問題の解答もあります。きちんと最後まで解いてから答えを合わせましょう。
1 次の問いに答えなさい。
(1)
酸化還元反応に関する記述として正しいものの組み合わせはどれか。@〜Eから選び記号で答えよ。
(a) 酸化と還元は,常に同時に起こる。
(b)
ある原子の酸化数が減少するとき,その原子は還元されている。
(c)
ある化合物が水素原子を失うとき,その化合物は酸化されている。
(d)
酸化剤及び還元剤の両方の性質を持つ物質は存在しない。
(e)
あるイオンが電子を得るとき,そのイオンは酸化されている。
@ (a), (b), (c) A (a), (b), (d) B (a), (d),
(e) C (b), (c), (d) D (b), (c), (e) E (c),
(d), (e)
(2) 3価のクロムを含む化合物はどれか。
@ K2Cr2O7
A CrO3
B K2CrO4
C CrCl3
D CrSO4
(3)
次の反応及び変化において( )内の元素が還元されるのはどれか。すべて選び記号で答えよ。
(a) HI → I2 (I)
(b) NO → NH3 (N)
(c) 2FeCl2 + Cl2
→ 2FeCl3 (Fe)
(d) 2KI + Cl2 →
2KCl + I2 (I)
(e) Fe + Cu2+ →
Fe2+ + Cu (Cu)
(4)
次の反応により,臭素,酸素,及びヨウ素の還元力の強さはどうなるか。
2Br2 + 2H2O
→ 4HBr + O2
2KI + Br2 → 2KBr
+ I2
4HI + O2 → 2I2
+ 2H2O
@ 臭素>酸素>ヨウ素 A
臭素>ヨウ素>酸素 B 酸素>臭素>ヨウ素
C 酸素>ヨウ素>臭素 D
ヨウ素>臭素>酸素 E ヨウ素>酸素>臭素
2 過マンガン酸イオンMnO4−は,硫酸酸性水溶液中で@式のように相手物質から電子を奪い,鉄(U)イオンFe2+はA式のように相手物質に電子を与える。次の各問いに答えよ。
MnO4−
+ 8H+ + 5e−
→ Mn2+ + 4H2O
・・・・・@
Fe2+ → Fe3+
+ e−
・・・・・A
(1)Mnの酸化数の変化及びFeの酸化数の変化を例にならって示せ。 [例]
+1 → -1
(2)@,A式から,硫酸酸性水溶液中での過マンガン酸イオンMnO4−と鉄(U)イオンFe2+の反応を,イオン反応式で示せ。
(3)硫酸鉄(U)FeSO4水溶液を10mlとって,0.20mol/lの硫酸酸性の過マンガン酸カリウムKMnO4水溶液で滴定したところ,15mlを要した。硫酸鉄(U)FeSO4水溶液の濃度は何mol/lか。
(4) (3)の滴定の終点はどのようにして決められるか。色の変化に着目して簡単に答えよ。
3 次の記述に関して(1)〜(3)の問いに答えよ。
過マンガン酸カリウムKMnNO4は酸性溶液で次のイオン式で示される酸化作用を持つ。
MnO4−
+ 8H+ + (ア)e−
→ Mn2+ + 4H2O
また,シュウ酸ナトリウムNa2C2O4は次のイオン式で示される還元作用を持つ。
C2O42−
→ 2CO2 + (イ)e−
(1)イオン式の( )の中に適当な数値を入れよ。
(2)濃度未知の過マンガン酸カリウム水溶液の濃度を求めるため,シュウ酸ナトリウムの結晶0.230gをとり,100mlの水に溶解した。その溶液を硫酸酸性とし,上記の過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ,34.0mlを必要とした。この過マンガン酸カリウム水溶液は何mol/lか。小数第3位まで求めよ。
4 次の文を読み,(1)〜(5)に答えよ。
過マンガン酸カリウムの硫酸酸性水溶液に硫酸鉄(U)の水溶液を加えると,過マンガン酸イオンは,MnO4− + 8H+ + 5e− → Mn2+ + 4H2O のように反応し,鉄(U)イオンは Fe2+ → Fe3+ + e− のように反応する。
(1)これらの反応を1つのイオン反応式にまとめたものとして,正しいものを次の@〜Dより選び,記号で答えよ。
@2MnO4−
+ Fe2+ + H+
→ 4Mn2+ + 3Fe3+
+ H2O
A2MnO4−
+ 2Fe2+ + H+
→ 5Mn2+ + 3Fe3+
+ H2O
B2MnO4−
+ Fe2+ + 2H+
→ 3Mn2+ + 4Fe3+
+ H2O
C MnO4−
+ 5Fe2+ + 8H+
→ Mn2+ + 5Fe3+
+ 4H2O
D MnO4−
+ 2Fe2+ + 6H+
→ Mn2+ + 5Fe3+
+ 3H2O
(2)この反応による溶液の色の変化として,最も適当なものを次の@〜Dより選び,記号で答えよ。
@黄緑色から赤紫色 A青紫色から赤紫色 B青紫色から黄褐色 C赤紫色から黄褐色
(3)1molの硫酸鉄(U)を酸化するのに必要な過マンガン酸カリウムの物質量として,最も適当なものを次の@〜Dより選び,記号で答えよ。
@0.20mol A1.0mol B2.0mol C4.0mol D5.0mol
(4)1molの過マンガン酸カリウムが受け取る電子の物質量として最も適当なものを次の@〜Dより選び,記号で答えよ。
@0.20mol A1.0mol B2.0mol C4.0mol D5.0mol
(5)この反応によって3.16gの過マンガン酸カリウムから生じる硫酸鉄(V)のグラム数として,最も適当なものを次の@〜Dより選び,記号で答えよ。
@3.16g A7.90g B10.0g C15.8g D20.0g
解答
1 (1)@ (2)C (3)(b),(e) (4)E
【解説】
(1)(a)○,(b)○,(c)○,(d)×:存在する,(e)×:イオンが電子を得ると還元される
(2)@+6,A+6,B+6,C+3,D+2
(3)(a)-1→0,(b)+2→-3,(c)+2→+3,(d)-1→0,(e)+2→0
(4)臭素と水の反応からO>Br,ヨウ化カリウムと臭素の反応からI>Br,ヨウ化水素と酸素の反応からI>Brとなる。
2
(1)Mn : +7 → +2, Fe : +2 → +3
(2)MnO4−
+ 8H+ + 5Fe2+
→ Mn2+ + 4H2O
+ 5Fe3+ (3)1.5mol/l
(4)滴下した過マンガン酸カリウム水溶液の赤紫色が消えなくなるときを終点とする。
【解説】
(2)@+A×5により e−を消去し,イオン反応式をつくる。
(3)イオン反応式から,1molのKMnO4が5molのFeSO4と反応することがわかる。FeSO4水溶液の濃度をxmol/lとすると,
0.20×15/1000 : x×10/1000
= 1 : 5 ∴ x=1.5(mol/l)
(4)KMnO4水溶液の色の変化を利用する。
3 (1)ア:5, イ:2 (2)0.020mol/l
【解説】
(2)半反応式より,MnO4-
: C2O42-
= 2 : 5
で反応する。よって,過マンガン酸カリウム水溶液の濃度をxmol/lとすると,(COONa)2=134より,
x×34/1000 : 0.230/134
= 2 : 5 ∴x≒0.020(mol/l)
4 (1)C (2)C (3)@ (4)D (5)D
【解説】
(1)問題文で与えられた2つの半反応式から電子e−を消去すればよい。
MnO4−
+ 8H+ + 5e−
→ Mn2+ + 4H2O
…式1
Fe2+
→ Fe3+ + e−
…式2
式1+式2×5より
MnO4−
+ 5Fe2+ + 8H+
→ Mn2+ + 5Fe3+
+ 4H2O …式3
(2)水溶液中で過マンガン酸イオンMnO4−は赤紫色,鉄(V)イオンFe3+は黄褐色を呈する。
(3)式3より,1molの過マンガン酸カリウムKMnO4より生じた1molのMnO4−と5molの硫酸鉄(U)FeSO4より生じた5molのFe2+が反応することがわかるから,1molのFeSO4を酸化するのに必要なKMnO4の物質量をx[mol]とすると,
1:5=x:1 ∴ x=1/5=0.20[mol]
(4)式1より1molのMnO4−は5molのe−を受け取ることがわかる。1molのMnO4−は1molのKMnO4より生じるから,1molのKMnO4が受け取る電子は5molである。
(5)式3より1molのMnO4−から5molのFe3+が生じることがわかる。また1molの硫酸鉄(V)Fe2(SO4)3は2molのFe3+から生じるから,1molのKMnO4によって生じるFe2(SO4)3は2.5molである。KMnO4=158,Fe2(SO4)3=400より,3.16gの過マンガン酸カリウムから生じる硫酸鉄(V)をy[g]とすると,
1×158:2.5×400=3.16:y ∴ y=20.0[g]
(注) 式3に対になるイオンを加えると,過マンガン酸カリウムの硫酸酸性水溶液に硫酸鉄(U)の水溶液を加えたときに起こる反応についての化学反応式は次のようになる。
2KMnO4 +
10FeSO4 + 8H2SO4
→ K2SO4
+ 2MnSO4 + 5Fe2(SO4)3
+ 8H2O