更 級 日 記

 更級日記は平安時代後期に成立した日記文学で、作者は菅原孝標女です。少女時代から老境に至るまでの約40年間の人生を回想しながらつづった、いわば自叙伝です。幼い頃から物語の世界にあこがれ、ロマンチックな夢を描く少女であった作者は、両親の生きざま、結婚生活など、厳しい現実世界を通して幻滅し、仏にすがり来世を願う過程をつづっています。
 平安時代は女流文学の時代です。仮名文字が発達し、女性を中心に広く使われるようになり、中期になると藤原氏の政策などと関連して女性の教養が高められ、女性特有の感受性豊かで個性的な文学が現れるようになりました。この時期に「源氏物語」「枕草子」といった作品が生まれました。「更級日記」は「源氏物語」から約50年後に書かれています。

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なるをいかが見ばやと思ひつつ 世の中に物語といふもののあん かに思ひはじめけることにか かりかはあやしかりけむを
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つ方に生ひ出でたる人
いかば
 東路の道の果てよりもなほ奥    

〜「更級日記」ダイジェスト〜

「東路の道の果てよりも」
 幼い頃地方官の父に連れられて、都を遠く離れた上総の国で少女期を送った作者。物語の世界にあこがれ、早く都へ上って思う存分物語を読みたいと願い、薬師仏まで作る。やがて父の任期果て、一家は上京することとなる。

「継母なりし人は」問題演習へ
 父と共に上総の国へ下った作者の継母は、帰京後夫との仲が思わしくなく離婚する。作者はこの継母を慕っていたので別れを悲しむ。梅の咲く頃に帰ってくると約束したのにやって来ない継母を待ちかねて、催促の歌を送る。

「その十三日の夜」 問題演習へ
 月を眺めながら姉と話をしていると隣家を訪ねてきた貴人があった。従者がしきりに声をかけるが、隣家の女は答えようとしない。男は笛を吹きながら去ってゆく。

「その五月の朔日に」
 姉が出産の患いで死ぬ。作者は姉の遺児二人を左右に寝かせながら、悲痛な思いを味わう。

「十月になりて」
 ある人にすすめられ、渋る父親を説得し、宮仕えに出るようになる。今まで家庭内に閉じこもっていた作者にとって初めての宮廷生活は気詰まりなことだらけで、息の詰まるような思いであった。

「今は昔のよしなし心も」
 作者も中年となり、昔の浮ついた生活を悔い、子供の教育など、現実的な生活を心がける。また死後の冥福を願う信仰心を起こし、石山寺に参拝に出かける。
   

「昔よりよしなき物語、歌のことをのみ」
 文学的な夢ばかり追ってきた過去を後悔し、不幸な身の定めを、信仰の足りなかった報いとあきらめる。作者は阿弥陀仏が自分を迎えに現れた夢を心頼みとし、極楽往生への期待をつなぐ。

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