方 丈 記
方丈記は鎌倉時代初期に成立した随筆で、作者は鴨長明です。前半では安元の大火・治承の辻風・養和の飢饉など、天災地変による人心の動揺や人間生活のはかなさを、後半では日野山に方丈の庵を結び、閑居の中で安静を得た心境を、流麗な和漢混淆文で述べています。長明には他に、仏教説話集「発心集」、歌論「無名抄」があります。
うち続く戦乱の醜さに耐えられず世を捨てて、無常を悟り仏に救いを求めた人々は、かえって自由に現実を見つめ、優れた文学を生み出しました。鴨長明もその一人です。他には西行、兼好法師などがいます。彼らによる作品を総称して「隠者文学」といい、江戸時代に俳諧を確立した松尾芭蕉は、彼らの影響を色濃く受けています。
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たる例なし |
結びて くとどま り |
たかたは かつ消えかつ |
あらず 淀みに浮かぶう |
し て しかも もとの水に |
ゆく河の流れは絶えず | 〜「方丈記」ダイジェスト〜
「ゆく川の流れは」 「また養和のころとか」 問題演習へ |
| 「また同じころかとよ」 問題演習へ 養和の飢饉と同じ頃、都は大地震に襲われた。お堂や塔もことごとく被害に遭い、大地も割れた。地震の後人々はしばらくの間この世の無常を嘆いたが、年を重ねるうちに地震の恐ろしさを忘れてしまったようだ。 「ここに六十の露消えがたに」 |
「おほかた、この所に住みはじめし時は」 ほんのちょっとと思っていた日野山の生活も、もう五年が経過した。都では多くの人が亡くなったらしい。火災で多くの家も焼失しただろう。それに比べ我が家は全く安全、私の心にぴったりかなっている。世間では自分のためではなく財宝や牛馬のために家を造ることもあるようだが、私の家は私のために造ったのである。 「そもそも、一期の月影かたぶきて」 |