13 核時代の次に来るべきもの
学習のポイント
前半では「人間疎外」の社会が「巨大化」によって「人間否定」になる、という論旨を正確に捉えましょう。後半では、「生物的状況」の意味を正確に読みとり、筆者から我々に向けた警句を受け止めましょう。
現代は、核時代であると同時に、また、核兵器以外の物について考えてみても、巨大化の時代である。現代の巨大化は無限大を指向しているが、実際には、無限大ではあり得ないから、どこかで破綻する。その破綻を現代人はある程度まですでに経験している。しかし、同時に巨大化そのものへのa 崇拝、巨大化そのものが何か偉大なことではないかという錯覚から現代人はまだ抜け出せずにいるのである。これは( 1 )軍備のみではなく、いろいろな方面に見られる現象である。
こうしたことは、もはや人間1 □□というような生やさしいことではなく、人間2 □□へとつながってゆく。各個人は大きな組織の歯車に過ぎないということがよく言われるが、事態はもっと悪化しつつあるのではないか。かつては、( 2 )歯車に過ぎなくても、そこに生きがいを見出すことが可能であった。ところが、歯車を部分品とする機械の役割が、それを一部とするより巨大な機構の中で急速に変わってゆく場合には、歯車になった個人は、わけもわからず3 □□□□するほかない。b ジリツ性を回復する余裕は失われてしまうのである。
このことは、核兵器体系の問題とc ムエンではない。今日のような巨大化を見る以前には、核兵器体系の進展に対して、何とかしてこれを廃絶したいという受けとり方が人々の間に広がっていったが、ここ数年間に4 この傾向は逆転し、いつのまにか核兵器体系の存在を自然的な状態として受け入れるようになってきている。そして核の傘に覆われた中で、人はいかに生きてゆくのかが論じられている。ところが実は、核の傘そのものがどんどん成長し、巨大化しつつあるのであって、核の傘を安定したものと受け取ること自体が5 □□なのである。遅かれ早かれ、それは人類を飲みつくしてしまうものだという意識は薄れ、( 3 )こうした状況の中で、それへの適応が考えられている。
自然環境への他律的一方的な適応は、大多数の生物がやっているところである。今日まで、人間は自分たちの環境を変えて、人間にとって住みよい世界をつくってきた。ところが今日、人間は再び6 人間以前の生物的状況にもどろうとしているのではないか。ここでは、人類の前途が何によって決定されるのかという問いに対して、それは核大国によって決定されるという答えが固定観念となりつつあるのではないか。
問1 傍線a〜cのカタカナを漢字に直し、漢字は読み方を書きなさい。(本文中のカタカナをクリックすると答えが出ます)
問2 空欄1〜3に入れる語として適当なものを次から選び、記号で答えなさい。正解
ア もっぱら イ たとい ウ 必ずしも
問3 傍線部1・2に入れる語としてもっとも適当なものを次から選び、記号で答えなさい。正解
ア 否定 イ 肯定 ウ 疎外 エ 阻害
問4 傍線部3に「右」「左」の二字を用いた四字熟語を入れなさい。正解
問5 傍線部5に入れるのにもっとも適当な二字の熟語を本文から抜き出しなさい。 正解
問6 傍線部4「この傾向」とはどのような傾向か。本文中の語句を用いて二十字以内で書きなさい。正解
問7 傍線部6「人間以前の生物的状況にもどろうとしている」とは具体的に何をすることか、本文から十五字以内で抜き出しなさい。正解