2年 山口 純子さん

     「人間失格」を読んで 

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私はこんな男は嫌いだ。
 いきなりこんな事が書いてあってびっくりされただろう。感想文で始めからこの本の主人公は嫌いだもないものだ。けれど私は本の主人公に、「こんな人になりたい」と思わせるような人、あるいは反面教師的な人を求める。でも彼は違う。理想の人でも最低の悪役でもなく、中途半端に暗いところで悩んでいるだけなのだ。
こういう見たこともない人物を生み出した太宰治を、私は凄いと思うが、だからといってこの本の主人公を好きになることはできない。
 実際こんな暗い本はないと思う。私は始めの「はしがき」を読み始めた時そう思った。何年か前この本を読もうとした時、この「はしがき」を読んであまりの暗さに続きを読むのをやめてしまったくらいだ。それは「手記」を読み始めると、少しだけ晴れたものの、またすぐ暗くなって続いていく。ただ、その晴れた、というのも、単に「明るくなった」のではなく、「暗さ」のかわりに「いやな感じ」になったように思う。
「なによコイツ」と、少しの憎しみも伴って読んでしまうのだ。それがなぜそういうふうに感じてしまうのか、認めたくないけどわかっている。自分も同類、似たような所を持っているからだ。それが彼を嫌う原因でもあると思う。彼は人間が信じられなくて、そして人間を恐れている。けれど人間らしい人間になりたい、のだと思う。私は人間が恐ろしいのではないが、人間に拒絶されるのが恐ろしい。人間に好かれたくてしかたないのに。どちらにしても人を信じ、自分を信じることができないのだ。




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講   評

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竹 澤 先生


 
「自分も同類」だから「こんな男は嫌いだ」と、素直に自らを告白して感想を書き進めている所に、真剣さがうかがえます。「道化」によってしか生きられなかった主人公の苦悩が理解できています。自己愛を主人公に感ずるからこそあなた自身の厳しさが感想文に出ているのです。


                                                              

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