説唐詩・口語訳

  静夜思
寝台の前の明るい月の光、地上に降りた霜かと思った。
頭を上げて明るい月を仰ぎ見、頭をたれて故郷を思う。

 旅の間の何事もない夜、寝台の前数尺の地に、ふと広く照らしている光を目に入った。冷たい月の光の色は白く、そのため霜かと疑って、もう夜が明けたのかと思った。そこで頭を上げて上の方を見ると、はじめて(霜かと思ったのが)月の光であることが分かった。起句は光、この転句は月(が対象)である。寝台の前の光を見たのは無意識であり、月を振り仰いだのは意識的である。月はちょうど天空にあり、まさに真夜中である。寝台の前は雪のように白く、心が騒いで再び眠ることはできず、初めて異郷にいることを思い知らされた。そこで「頭をたれて故郷を思いしのぶ」ことになるのである。(白い光を見た)ことによって(霜かと)疑ったので(月を)仰ぎ見、仰ぎ見たことによって故郷を思ったのであって、共に他の思いはなく、まことに「静かな夜の思い」なのである。

盛唐の詩人

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