紅葉賀・演習
この御事の、十二月も過ぎにしが心もとなきに、この月はさりとも、と宮人も待ちきこえ、内裏にもさる御心まうけどもある、つれなくてたちぬ。御物の怪にや、と世人も聞こえ騒ぐを、宮いとわびしう、このことにより、身のいたづらになりぬべきこと、と思し嘆くに、御心地もいと苦しくてなやみたまふ。中将の君は、いとど思ひあはせて、御修法など、さとはなくて所どころにせさせたまふ。世の中の定めなきにつけても、かくはかなくてややみなむと、取り集めて嘆きたまふに、二月十余日のほどに、男皇子生まれたまひぬれば、なごりなく、内裏にも宮人にもよろこびきこえたまふ。(中略)
上の、いつしかとゆかしげに思しめしたること限りなし。かの人知れぬ御心にも、いみじう心もとなくて、人間に参りたまひて、「上のおぼつかながりきこえさせたまふを、まづ見たてまつりて奏しはべらむ。」と聞こえさせたまへど、「むつかしげなるほどなれば。」とて、見せたてまつり たまはぬも、ことわりなり。さるは、いとあさましう、めづらかなるまで写し取りたまへるさま、違ふべくもあらず。
問題1 文中の青字・傍線部の敬語は誰に対する敬語ですか。解答は、源氏・帝・藤壺の宮・若宮(男皇子)から選んでください。その部分をクリックすると正解が出ます。
問題2 「世人も聞こえ騒ぐを、宮いとわびしう」とあるが、@なぜ人々が騒ぐのですか、A宮が「わびしう」感じている原因は何ですか。 ……
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問題3 「いみじう心もとなくて」の内容として適当なものを選びなさい。 …… ![]()
若宮を早く見たいという期待が強いこと
自分と藤壺の宮との仲が人に知れるのが心配だということ
帝が若宮を見て源氏の子だと気付くのが不安だということ
帝が藤壺の宮を待ちこがれているのが気に掛かるということ
藤壺が悩みで病気になっているのが心配だということ