解答と解説
問1 @「十二月」の古典的な読み方を答えなさい。→ 解答 しはす(しわす)
古文の文章に出て来た月の名前は、この例のように数字の月で書かれていても古典的な読み方をする約束になっています。最近は英語の月の名は知っているが、日本語の古名は知らないという人もいます。次に並べておきますので、覚えておいて下さい。(生徒手帳にも出ていますよ.)
1月:睦月(むつき)……春を迎えて人々がむつみあう(親しくする)意味から。
2月:如月(きさらぎ)……冬の着物をまだ着る、あるいは重ね着をする「衣更着」。
3月:弥生(やよい)……植物がいよいよい(弥々)生い茂って来る季節の意味。
4月:卯月(うづき)……夏の到来を示す「卯の花」が咲く時期。十二支の4番目が「卯」だからという説があるが、他の十二支がないので誤りだろう。
5月:皐月(さつき)……「早苗(さなえ)」「早乙女(さおとめ)」は田植えをするのに神に捧げる苗や、神に仕える女性を指したもの。茨城県にも田植えの前に「さおり」、田植えの後に「さのぼり」という祭をする地区があるようで、「皐月」とは「田の神の月」という意味であろう。
6月:水無月(みなづき)……「水が無くなる」というのは当て字、「水」を「みな」と読んで「水の月」というのが元らしい。「稲に水をやる月」とも。
7月:文月(ふみづき・ふづき)……七夕があって「文を出す月」。また稲が実を「ふふむ」月とも。
8月:葉月(はづき)……稲が「張る」月か。「紅葉の月」「落葉の月」の略という説も。
9月:長月(ながつき)……不明。「夜長の月」「長雨の月」から出たという説があるが疑問。
10月:神無月(かんなづき)……貝原益軒が、出雲に神様が集まるためそこらに神がいなくなるという説をこじつけて有名になった。もともとは「神の月」で、「無」は当て字らしい。
11月:霜月(しもつき)……不明。前の月の「かみの月」に対する「しも月」か。
12月:師走(しはす)……これも貝原益軒の「坊主が走る月」が有名だが疑問。「年果つ(年が終わる)」「四季が終わる(四時果つ)」からの転という説が一般的だが、「つ」音が「す」に変化するのは疑問。
問2
A「戌」の読み方と、現在の時刻で何時に当たるかを答えなさい。
→ 解答 「いぬ」・午後8時頃
十二支は時刻や方角を表すのに用いられるので、確実に覚えておいて下さい。下に示しておきます。
方角では「子」を北に取り、時計回りに30度ずつ変化します。東が「寅」、南が「午」、西が「酉」に当たります。地図で南北を結んだ線を「子午線」というのはここから来ていることが分かります。
時刻では「子」を午前0時とし、2時間ずつ受け持ちます。お昼の12時はちょうど「午」なので「正午」、それより前が「午前」、後が「午後」というのも納得がいきますね。
時刻を表わすのには、もう一つ数字を用いる方法があります。日の出、日の入りの時刻を「六つ」として、二時間毎に一つ増減します。下の表の現在の時刻の後に青字で示しておきます。午後2時の「八つ」は「おやつ」という言葉に残っています。
子(ね=ねずみ)……0時(九つ)・北
丑(うし)……………2時(八つ)
寅(とら)……………4時(七つ)
卯(う=うさぎ)………6時(日の出・明け六つ)・東
辰(たつ)……………8時(五つ)
巳(み=へび)………10時(四つ)
午(うま)……………12時(正午・九つ)・南
未(ひつじ)…………14時(八つ)
申(さる)……………16時(七つ)
酉(とり)……………18時(日の入り・暮れ六つ)・西
戌(いぬ)……………20時(五つ)
亥(い=いのしし)…22時(四つ)
問3 『土佐日記』の一節です。「土佐」は現在の何県に当たりますか。→ 解答 高知県
古い地名でも、常識的なものは読み方や現在の地名を問われることがあります。四国の四つは常識ですね。土佐は「よさこい節」で「土佐の高知のはりまや橋」と歌われています。他は「讃岐(さぬき)」の金比羅や「讃岐」うどんでおなじみの香川、「阿波(あわ)」の鳴門や「阿波」踊りの徳島、「伊予(いよ)」柑の愛媛です。
問4 a「すなる」とb「するなり」の「なり」の違いを答えなさい。
aの「なる」は「す」という終止形に接続する伝聞・推定の助動詞になります。「す」はあらゆる動詞の代わりに用いることが出来るので、ここでは日記を「書く」という意味に取り、伝聞なら「書くと聞いている」、推量なら「書くらしい」という意味が取れます。ここでは日記というものがあることは明らかですから「伝聞」の意味になります。
bの「なり」は「する」という連体形に接続する断定の助動詞です。「書くのだ」という意味になります。
この文章を学習する時には必ず取り上げられる問題ですが、「なり」の判別は受験まで欠かせないものになるので、しっかり学習しておいて下さい。これから「動詞」「形容動詞の語尾」など、種類も増えて行きます。
問5 c「船に乗るべき所」の「べし」の意味を考えて口語訳しなさい。
「べし」は推量の助動詞ですが、色々な意味を持っているので、その文章にあう訳を正しく作ることが出来るようにしなければなりません。
推量:「……だろう」「……らしい」
意志:「……するつもり」「……しよう」
可能:「……できる」
当然:「……に違いない」「……はずだ」
命令:「……せよ」
適当:「……のがよい」
予定:「……することになっている」
この6通りです。それぞれの頭文字を取って「すいかとめてよ(西瓜止めてよ)」と覚えている人もいるでしょう。ここでは「予定」になります。「船に乗ることになっている場所(船に乗る予定の場所)」ということになりますね。「予定」を「当然」に含めて考えている文法書もあります。この場合、「船に乗るはずの場所」という訳になります。現在も「……べし」という言葉を使います。当然や命令の例が多いようですが、どの意味で訳したのかを明確にするため、口語訳には「べし」は用いないようにするのがよいでしょう。
問6 d「知らぬ」とe「更けぬ」の「ぬ」の違いを答えなさい。
dの「ぬ」は未然形につく打消の助動詞「ず」の連体形です。一方eは連用形につく完了の助動詞「ぬ」の終止形です。eの「更け」は下二段活用の動詞で、未然形・連用形が同じ形になりますので、接続だけでは判別できません。きちんと解釈をして確認してみて下さい。