7、特定都区市・山手線内発着特例。

(旅客営業規則第86条、第87条、旅客営業規則取扱基準規程第114条、115条)

今から10年以上も前の事になるが、静岡県磐田市にある母の実家によく連れてもらった事がある。当時はJRではなく国鉄の時代であるが、現在とさほど規則に変わった点はないのでその時のエピソードを紹介する。

 

私と母は磐田から帰るために磐田駅の「みどりの窓口」に立ち寄った。私は、その当時小学校入学前だったのできっぷを買う必要がなく、母が買うのを隣で見ていた。目的地は横浜であったが、母は戸塚〜横浜の定期券を持っていたため当然、戸塚駅まで乗車券を買うものだと思っていた。しかし、彼女は大船駅までの乗車券を買った。

幼心にもなぜそんな買い方をしているのだと不思議に思い、後で聞いてみると

「この方が安くなる。」

という答えしか返って来なく、釈然とする思いを幼い松山少年は、当分背負うことになったのである。

 

問題となった乗車券を整理すると次のようになる。

 普通に考えた場合  磐田→横浜市内     3,500円 @

 母が買った場合   磐田→大船 大船→戸塚 3,340円 A

一見、分割買いのテクニックに見えるがそれだけではない。@の行き先が「戸塚」ではなく、「横浜市内」という所に注目したい。これこそ典型的な特定都市区内発着特例と呼ばれるもので、

(1)「東京都区内、横浜市内(川崎周辺を含む)、名古屋市内、京都市内、大阪市内、神戸市

内、広島市内、北九州市内、福岡市内、仙台市内、札幌市内にある駅と、そのゾーンの中

心駅から201km以上ある駅間の運賃は、それぞれ中心からのキロ程で計算され、券面表

示は○○市内発または着と表示される」

(2)「山手線内の場合は、東京から101km以上200km以下の場合に適用される」

つまり、「磐田→戸塚」という乗車券を買おうとしても、戸塚が横浜市内の駅であり磐田〜横浜が200km以上あることから、@の様になってしまい結局横浜まで買ったことになってしまうのである。そこで、Aの様な買い方をすれば、大船が横浜市内から外れるため運賃が若干安くなるのである。

とは言うものの、この特例は利用者の便を悪くするために設けられているのではない。もちろん、得する場合だってちゃんとある。例えば、常磐線金町から芸備線井原市までの乗車券を考えた場合、実際の乗車キロ(芸備線は換算キロで計算)は949kmにもなるのに実際の乗車券では「東京都区内→広島市内」(894.2km)で済むこととなり、差し引き54.8km分得することになるのである。

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